醒める
お酒を飲んでて、
「何故ここで、このタイミングで醒める?」
と思うことがある。
その場がつまらない訳じゃない。
だけど急に、フッと醒めてしまう。
集中の糸が突然切れるように。
急に現実を思い出したように。
例えばテキーラをゲイバ一の店子と何杯も煽っていて、「何で途中で醒めんだよ」と胸ぐら掴まれSっ気たっぷりに責められたことがあった。
先日のナイトでも、強烈に醒めてる瞬間があった。
着いた時点で会場は大混雑。
場の空気が非常に高まっていて、本能的に早く酔わないと気圧されてしまう、と思った。
1人だったし。最初知り合いが全然いなかったし。
ジントニックを早めのペースで2,3杯飲み干して、相応に酔った。
けれど酔いとは逆行して、気持ちはどんどん落ち着いて醒めていくのが分かった。
重低音の響く喧騒の中にも関わらず、結構な集中力で内省していた。
「なんでこの人たちこんなに楽しめてるんだろう…?」
「なんかこれ、炎上した広◯すずの発言みたいだ」
「こうやって思い切りハジけられない自分は、人生を損してるような気がする」
「何が邪魔してるんだろう」
「自我、自意識、恥じらい、そういうのかな」
「一度そういうの全部、ひっぺがした方が生きやすくなる気がする」
「そういうワークショップみたいなの、ありそうだよね。自己を開放する、みたいな(笑)」
「受けてみたらいいんじゃない?」
「自分に今必要なものはこういう事か」
「そうかも。いい発見になったね」
「本来の楽しみ方と違うけど」
「うん、来た意味があったわ」
……………
こうして書きながら思ったのは、「醒める」のは一種の自己防衛なんだろうということ。
普段ゲイである事をひた隠しにしてる事も関係している気がする。
「ゲイであること以外は正直に飾らない自分を見せよう」と意識しているつもりでも、どこか常に自制がかかった状態で、自分を見せられてないような気持ちになる。
お酒飲んでても、これ以上進むと自制が効かなくなると感じたら、シャッターをスパーーン!!と閉じる。それが醒めるなのかもしれない。
そして裏返せば、醒めない方法がもう分からなかったりする。
何かに熱中する、物凄く盛り上がる、感情をむき出しにして笑う、潰れるまで酔う……
どうしたらいいんだっけ。