古いものについて
古い映画をみるのも好きです。
先日「イヴ の総て」という1950年の映画がとても面白かったので、ちょっとだけご紹介。
栄誉ある演劇の式典で、若い女優イヴ・ハリントンが最優秀賞を授与されるところから話は始まる。
その様を複雑な表情で見つめる幾人かの面々。
そして物語はその面々による回想シーンへと移っていく。
そう、「イヴ の総て(すべて)」を知るための物語へ・・・
(youtubeに冒頭数分の公式動画がありました)
あまり話してしまうと物語の核心に触れかねないけど、女と女の生きざまを見せつけられる作品でとても面白かったです。
ただ、それより面白かったのは、映画の外の話。
その年のアカデミ一賞では、若手女優イヴを演じたアン・バクスタ一と、イヴに活躍の場を脅かされる40歳の女優マーゴ役のベティ ・デイヴィスが両名とも主演女優賞にノミネートされた。
実キャリアでも活躍から遠ざかりかけていたベティにとっては是非ともモノにしたい主演女優賞。
しかし、本来であれば助演の位置づけであったイヴ役のアンも主演女優賞にノミネート。そして結果はそれぞれに票が割れたことで、別の女優が受賞してしまった・・・
(同じ映画から主演女優賞が2名ノミネートされたのはこれが初だったそう。)
映画の中だけでなく若手がベテランを喰ってしまうという構図、最高に面白くないですか?
そしてもう1点面白いのが、1950年の映画でイヴを演じたアン・バクスタ一が、後年舞台でマーゴ役を演じたこと。これもまた因果なお話。
こんな風に、昔の映画をみていると、その背景にある俳優さんたちの裏話エピソードがあったりして、とても面白いことがあります。
似たような話だと、「マイ ・フェア・レディ」をめぐるオ一ドリー・ヘプバ一ンとジュリ一・アンドリュ一スの話。
これは今後お話する機会があれば・・・
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古いものについて、最近漠然と考えていたことがあって。
実はこっちの方が書きたかったことだったりします。
生きていれば新しいものに触れる機会や可能性が高まります。
2年前だったら宇多田の新譜は聞けなかったし、ゴジラを2回も観ようとは思いませんでした。
未来に向かって新しい物が出てくるのは当然なのですが、最近は「新発見の資料」とかなんとか言って過去の歴史が変わったり、消失したと思われたものが現存していた、とか、過去に遡って新しいものが出てくることを見聞きします。
今迄どこにあったの?
1192年じゃないの? ・・・みたいな。
未来に向かえば向かうほど、過去の記憶や物体は失われていくように思えるのに、
それらが「新しいもの」として我々の前にふいに現れるわけです。
その感覚がなんだか不思議で不思議で。